ジェフベックの名曲『悲しみの恋人達』

ロイ・ブキャナン、実力の割りには、今ではあまり知られていないアメリカのギタリストである。いつか忘れ去られる存在のようなアーティスト。
ロイ・ブキャナンを説明するには、ジェフベックが名曲『悲しみの恋人達』を捧げた人が『ロイ・ブキャナン』であったと言った方がよく、分かってもらえるような気がする。

風貌が、およそロックアーティストらしくないというのも、彼についてまわるエピソードです。今年、熱心にLP収集に励んだのが、この『ロイ・ブキャナン』のアルバムでした。
70'Sの頃から好きなギタリストではあったのですが、当時、持っていたアルバムは、4作目の『ギター・ルネッサンス(1975)』だけ。70'Sの頃は、このアルバムの「さすらいの巡礼者」というスローなブルースが好きでよく聞いていました。
ジェフベック・クラプトンに愛されたギタリスト
  日本でのレコードデビューの当時は『エリッククラプトンも絶賛した』と言うのが売り文句だった。
この言葉がアルバムの帯につけば、ギタリストも一種のステイタスを得ることになるわけで、にわかに信じがたいものがあるのですが、確かにクラプトン自身、ロイ・ブキャナンをライバルとしてではなく、ファンのような感情を持っていたようである。

また、彼は、ジェフ・ベックに愛されたギタリストでもあり、前にも書いたように あの叙情的名曲「悲しみの恋人達/『Blow By Blow』」は、ロイ・ブキャナンに捧げる曲として発表された。
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1975年、当時東芝レコードのジェフベック担当のディレクター氏は『(ロイ・ブキャナンは)ベックが今、一番好きなギタリストですよ。以前は、ジョージベンソンやとかレスポールとか言ってたけど、通じるところがあるんですよ・・・・・』と語っている。

ロイ・ブキャナンヒストリー

  ロイ・ブキャナンは、1939年9月23日アーカンソー州のザークに生まれる。
生きていれば60才ということになる。
牧師の息子で、5才で、父にプレゼントされたギターを弾き始めたという。当時のアメリカの多くのロックアーティスト達がそうであったようにに カントリー&ウエスタンとブルースを好み、演奏していたという。
信じがたい事だが9才でグループを結成。
1950年代後半、デイル・ホーキンスと出会い、『My Babe』というアルバムで初めてレコーディング・セッションに参加している。 
その後は、いろいろなレコーディングにつきあうが、スタジオミュージシャンとしての長い下積み生活の末、テレビの特別番組に出演をきっかけに広く知れ渡り、日の目を見るようになる。
そして、1972年、なんと33才という年齢で、5人組のスネイク・ストレッチャーズを従えてファーストアルバムを出すことになる。

セッションマンの経験の中で磨き抜かれた幅広い音楽性

スタジオ・ミュージシャン、セッションミュージシャンとしての長いキャリアを持つロイ・ブキャナンの実力は、クラプトンにしてもジェフ・ベックにしても認めるところであった。
彼の演奏は、職人技というのが、ぴったりした表現かもしれません。
彼の演奏曲は、実に多彩である。カントリーあり、ブルースあり、もちろんロック、ロックンロール、はてはジャズまでもこなす。
すべてのアルバムが入手できたわけではないので、確信が持てる情報ではないのですが、1st『ロイ・ブキャナン(1972)』はC&Wの色彩の強いアルバムであり、2nd『伝説のギタリスト(1973)』はブルース色が強い、3rd『THATS WHAT I'M HERE FOR(ロイ・ブキャナン・サード・アルバム)(1974)』はロックの色合いが濃くでている。

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テレキャスター

ロイ・ブキャナンといえば、テレキャスターサウンドというのが有名な話。
テレキャスターから多様な奏法を駆使する絶妙のプレイヤーである。彼自身が作り出したと言われている多くの奏法もある。
友人の話では、彼もフェンダーのギターを買うとき、ストラトとテレキャスターとどちらを買うかと迷い、結局は、ロイ・ブキャナンのテレキャスターの音が気に入り、ブルースにはテレキャスと考え購入したという。

メシアが再び/The Messiah Will Come Again

ここまで書くとロイ・ブキャナンが何でも型どおりに無難にこなすミュージシャンのような印象なのですが、彼の演奏は、ある時はヘヴィーにまたある時はムーディーにまた、エモーショナルにと多彩な演奏である。
ゲイリー・ムーアの『メシアが再び』は、ロイ・ブキャナンの曲であった。

ゲイリー・ムーアの『After The War』に収録されている「メシアが再び」のオリジナル曲は、ロイブキャナンのファーストアルバムと6作目のアルバム『メシアが再び/A Street Called Streight』に収録されている

このアルバムでは、ロイ・ブキャナンの長い長い語りからはじまり、ブキャナン風 哀愁と官能的なギターで演奏される。ゲイリームーア「メシアが再び」とロイ・ブキャナンの演奏とを聴き比べると同じエモーショナルな演奏でもかなりの違いがあることに気づきます。ロイ・ブキャナンは、音は歪ませない・・・と思うのですが・・・。

また、3作目『THATS WHAT I'M HERE FOR(ロイ・ブキャナン・サード・アルバム)(1974)』には、ジミヘンドリックス&エクスペリエンスのカヴァー曲「ヘイ・ジョー」もある。この「ヘイ・ジョー」もブキャナン風スローなナンバーに仕上げられ、ジミヘンとは一味違う演奏は一聴の価値があります。

ロイズ・ブルース

  ロイ・ブキャナンのブルース曲は、どれもすばらしいできと感じます。
最初に書いた「さすらいの巡礼者」の他にも、「ロイズ・ブルース」は、彼のテーマ曲とも言えるオリジナルのブルース曲。スローバラッドなイントロからハードなブルースに移っていく名曲です。
8枚目『LOADING ZONE(ローディング ゾーン)(1977)』に収録されているブッカーT&エム・ジーンズの名作「グリーン・オニオン」も(フィルモアの奇跡でも演奏されている曲)も実にいい。

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また、同アルバムに収録されている「ヒート・オブ・ザ・バトル」の早弾き、スピード感あふれるプレーには、70'Sの有名ロックギタリストも影が薄くなってきそうです。
確実な情報とは言えませんが、彼もまた、多くの70'Sアーティストのように自殺し既に亡くなっている。病気を苦にし、自殺したということのようである。もうすでに忘れられかけたアメリカのスーパーギタリストです。記憶のどこかにとどめ、機会があればお聞きください。

      

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